1. 1969年
傑物の至言-1 橋本治
で紹介した1969(昭和44)年。
"1969年とは、それ以前の時代を引っ張って来た「思想」が終焉を迎える年なのだ。だからこそ騒がしく、その後には空疎なる「豊かさ」しかもたらさない"
橋下治(1999年『シリーズ20世紀の記憶』毎日新聞社)
そもそもの土台であった共産主義を土台にした理想主義が徐々に背後に隠れながらも、『自由』を合言葉にしたヒッピー、フラワー、サイケ文化が支配していた最後の年。
ピースサイン、長髪、ジーンズ、ビートジェネレーション、サイケデリック
その象徴がウッドストック・フェスティバル/Woodstock Music and Art Festival。
アメリカでさえ怒っていた。
ベトナム戦争への介入という愚挙が理想を目指す人たちにとって格好の批判の的、怒りの矛先だった。
アメリカン・ニュー・シネマと呼ばれた重要な作品が興行的にも大成功。
日本でも大島渚の活躍、全共闘の活動が活発化していた。
”We haven’t had that spirit here since nineteen sixty-nine”
イーグルス/Eagles『ホテル・カリフォルニア/Hotel California』の歌詞より
イーグルス/Eaglesが『ホテル・カリフォルニア/Hotel California』で、
「1969年以来、魂は切らしております」
と歌った年。
2. 1969年の出来事
日付 | 出来事 | 年齢 |
---|---|---|
1/12 | レッド・ツェッペリン/Led Zeppelinのファースト・アルバムがアメリカで発売 | |
1/13-22 | エルビス・プレスリーのメンフィス・セッション | 34歳 |
1/18-19 | 東大安田講堂事件。左翼の学生が東大本郷キャンパス安田講堂を占拠。 | |
1/20 | リチャード・ニクソンがアメリカ大統領に就任 | 56歳 |
1月 | 安部公房『棒になった男』を発表 | 44歳 |
フラワーズのシングル「ラスト・チャンス」発売/td> | ||
2月 | エリック・クラプトン/Eric Clapton、ジンジャー・ベイカー/Ginger Baker、スティーヴ・ウィンウッド/Seve Winwoodとブラインド・フェイス/Blind Faith結成発表 | |
2/12 | モデルでレーサー福澤幸雄がテスト中に事故死 | 享年25歳 |
2/20 | 指揮者エルネスト・アンセルメ/Ernest Ansermet死去 | 享年85歳 |
2/21 | カルメンマキ「時には母のない子のように」でデビュー | 17歳 |
2/26 | 哲学者カール・ヤスパース/Karl Jaspers死去 | 享年86歳 |
2月 | アングラ・レコード・クラブ (URC) が設立 | |
3/1 | NHK-FM放送が本放送開始 | |
3/30 | 活動家フランシーヌ・ルコント/Francine Lecomteが焼身自殺。 | 享年30歳 |
4/7 | 連続射殺魔永山則夫が逮捕。 | 19歳 |
4/9 | ボブ・ディラン/Bob Dylan『ナッシュヴィル・スカイライン/Nashville Skyline』発売 | 27歳 |
4/18,21,23 | ハービー・ハンコック/Herbie Hancock『ザ・プリズナー/The Prisoner』録音 | 29歳 |
4/27 | コント55号の『コント55号の裏番組をブッ飛ばせ!』放送開始。 | 35歳/27歳 |
4/28 | シャルル・ド・ゴールが仏大統領を辞任 | 79歳 |
4月 | 裸のラリーズが「バリケード・ア・ゴーゴー」で演奏 | – |
5/11~13 | チック・コリア / Chick Coreaが後にアルバム『イズ/ Is』『サンダンス/Sundance』し収録される曲を録音 | 27歳 |
5/13 | 三島由紀夫が東大全共闘と公開討論 | |
6月 | 泥沼のベトナムから米軍が段階的に撤退開始 | |
6/22 | 女優ジュディ・ガーランド/Judy Garland死去 | 享年47歳 |
6/24 | 『二十歳の原点』の著者高野悦子自殺 | 享年20歳 |
6/28 | アメリカでストーンウォールの反乱勃発 | ー |
6/29 | 中央競馬においてバスター事件 | |
7/2 | 映画監督成瀬巳喜男死去 | 享年63歳 |
7/3 | ブライアン・ジョーンズ/Brian Jones(ローリング・ストーンズのオリジナル・メンバー)死去 | 享年27歳 |
7/5 | ローリング・ストーンズがハイド・パークでフリー・コンサート。新任ギタリストのミック・テイラー初ステージがブライアン・ジョーンズ追悼コンサートに | |
ピアニストヴィルヘルム・バックハウス/Wilhelm Backhaus死去 | 享年85歳 | |
『颱風とざくろ』脚本:倉本聰、放送開始 | ||
7/14 | 映画『イージー・ライダー/Easy Rider』全米公開(日本では1970年) | |
7/20 | アポロ11号が人類初の月面有人着陸 | ー |
7/25 | 「ニクソン・ドクトリン」を発表 | ー |
7/30 | マイルス・デイヴィス/Miles Davis『イン・ア・サイレント・ウェイ/In A Silent Way』発売 | ー |
7月 | フラワーズのアルバム「チャレンジ!」発売 | ー | 「ザ・テンプターズ・オン・ステージ」発売 | ー |
8/9 | 女優シャロン・テート/Sharon Tateがカルト教団信者により殺害される | 享年26歳 |
8/9-10 | 第1回全日本フォークジャンボリー | |
8/15-17 | 『ウッドストック・フェスティバル/・フェスティバル』開催。40万人もの人が集まりやむなくフリーコンサートになる | |
8/18 | 夏の甲子園大会決勝(三沢高校vs松山商業)で延長18回引分け再試合へ | |
8/19-21 | マイルス・デイヴィス/Miles Davis『ビッチェズ・ブリュー/Bitches Brew』をレコーディング | |
8/27 | 映画『男はつらいよ』第1作公開 | |
8月 | ジャックス解散 | |
桑名正博シングル『朝の光が輝く時』 | ||
9/3 | ホー・チ・ミン(ベトナム民主共和国初代国家主席)死去 | 享年79歳 |
9/23 | 映画『明日に向って撃て!/Butch Cassidy and the Sundance Kid』全米公開(日本では1970年) | |
9/26 | ビートルズの『アビイ・ロード(Abbey Road)』発売(英) | |
9月 | はっぴいえんどの前身“ヴァレンタイン・ブルー”結成 | |
10/1 | 9/26、ビートルズの『アビイ・ロード(Abbey Road)』発売(米) | |
10/4 | ドリフターズの『8時だよ!全員集合』放送開始 | |
10/5 | アニメ『サザエさん』放送開始 | |
『サインはV』放送開始。 | ||
10/7 | プロ野球「黒い霧」事件で西鉄永易選手らが永久追放 | |
10/10 | キング・クリムゾンKing Crimson『クリムゾン・キングの宮殿/In The Court Of The Crimson King』発売 | |
プロ野球金田正一投手(当時巨人軍)が通算400勝達成 | 36歳 | |
10-12月 | ハービー・ハンコック/Herbie Hancock『ファット・アルバート・ロトゥンダFat Albert Rotunda』録音、発売 | 29歳 |
10/15 | 『悪徳の栄え』にわいせつ罪(刑法175条)の有罪判決(訳者澁澤龍彦)。 | 31歳 |
筒井康隆『霊長類南へ』発刊 | 31歳 | |
10/21 | 作家ジャック・ケルアック/Jack Kerouac死去。 | 享年47歳 |
10.21国際反戦デー闘争 | ||
ビートルズの『アビイ・ロード(Abbey Road)』発売(日本)。 | ||
11/3 | 日産がフェアレディZを発売 | |
11/11 | 玉川髙島屋が開業 | |
12/1 | ギタリストマジック・サム/Magic Sam死去 | 享年32歳 |
12/6 | オルタモントでのフリーコンサートでローリング・ストーンズが演奏中、警備のヘルス・エンジェルスのメンバーが一人の黒人観客を殺害。この模様は後に映画『ギミー・シェルター/Gimmie Shelter』の中にも収録された | |
12月 | ブロードウェイ・ミュージカル『ヘアー』が日本で上演(川添象郎プロデュース) | ー |
時期不明 | 村八分結成 | ー |
ブルース・クリエイション結成 | ー |
レッド・ツェッペリン/Led Zeppelinのファースト・アルバム
1/12、レッド・ツェッペリン/Led Zeppelin(Gr.ジミー・ペイジ/Jimmy Page、Vo.ロバートプラント/Robert Plant、Dr.ジョン・ボンナム/John Bonhaum、Ba.ジョン・ポール・ジョーンズ/John Paul Jones)はジミー・ペイジがヤードバーズの最後のギタリストになり、当初はニュー・ヤードバーズとして結成。イギリスのバンドであるにも関わらず、ファースト・アルバムをイギリスより先にアメリカで発売したというのはジミー・ペイジ/Jimmy Pageの戦略であり画期的なことだった。レッド・ツェッペリン/Led Zeppelin(Gr.ジミー・ペイジ/Jimmy Page、Vo.ロバートプラント/Robert Plant、Dr.ジョン・ボンナム/John Bonhaum、Ba.ジョン・ポール・ジョーンズ/John Paul Jones)は売れっ子セッション・ギタリスト(本人も全て覚えていないくらいの録音でギターを弾いた)だったジミー・ペイジ/Jimmy Pageとジョン・ポール・ジョーンズ/John Paul Jonesが旧知の仲のプロだった。
ジミー・ペイジが長年の経験から成功の秘訣「光と陰」を形にする為の強力なメンバーとしてまだ知る人ぞ知る存在だったロバートプラント/Robert Plantとジョン・ボンナム/John Bohnumを誘い結成に至った。
レッド・ツェッペリン/Led Zeppelinの音楽はロックンロールをハード・ロックへと昇華させた。しばしば誤解、誤用されるがハード・ロックとヘビーメタルは同一ではない。レッド・ツェッペリン/Led Zeppelinは単純な形式主義のヘビーメタルではなく、複雑な音楽と精神性をミックスしたハード・ロックだったが、トラディショナル・フォーク、プログレッシヴ・ロック、ワールド・ミュージックの要素も含まれ、変調子を多用した高度な音楽を毎回リリースしたことによって最高のポジションを築いたのだった。
本作はファースト・アルバムということもありそこまでの要素が全て顕在化しているわけではないが、知人のレコード会社宣伝マンは最初にこのアルバムを聴いた時、「椅子からひっくり返るほどびっくりした」とその衝撃を語った。
A面 1.グッド・タイムズ・バッド・タイムズ – Good Times Bad Times (Page, Jones & Bonham)
シングルカット、全米80位までラインクイン
2.ゴナ・リーヴ・ユー – Babe I’m Gonna Leave You (Anne Bredon, arr., Page, Plant)アン・ブレドン作のフォーク・ソングをカバー。
3.ユー・シュック・ミー – You Shook Me (Willie Dixon, J. B. Lenoir)
ウィリー・ディクソンのブルーズ・ナンバーをカバー
4.幻惑されて -Dazed and Confused (Page)
クレジットはJimmy Pageのままだが元はフォーク・ナンバー。ヤードバーズ時代からレパートリーだった。原曲がズタズタになる程サイケデリックなアレンジが施され、ギターをバイオリンの弓で弾く箇所あり、中期までライブのハイライトを飾った。
B面 1.時が来たりて -Your Time is Gonna Come (Page & Jones)
2.ブラック・マウンテン・サイド -Black Mountain Side (Page)
トラッド・フォークを元にタブラなどを加え、インド色を出している。これを聴くだけでもこのバンドの音楽生の幅広さが伝わる。
4.コミュニケイション・ブレイクダウン -Communication Breakdown (Page, Jones & Bonham)シングル「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」のB面。プロモーションビデオを今でも見かけることがある。
5.君から離れられない -I Can’t Quit You Baby (Willie Dixon)
またもウィリー・デクソンの曲。この粘り感がたまらない。
6.ハウ・メニー・モア・タイムズ -How Many More Times (Page, Jones & Bonham)
DVD映像で残されたスタジオライブでもこの曲のカッコ良さ、テレキャスターを縦横無尽に引き倒すJimmy Pageの腕の確かさに今見ても震えがくる。
エルビス・プレスリーのメンフィス・セッション
1/13-22、メンフィスにて、後に全米1位となる「Suspicious Minds」やトップ3「In The Ghetto」、全米9位となる「Don’t Cry Daddy」など40テイクほどレコーディングした。東大安田講堂事件
1/18-19、左翼の学生が東大本郷キャンパス安田講堂を占拠。リチャード・ニクソン
1/20、 第37代アメリカ大統領に就任。1972年の『ウォーターゲート事件』が後に発覚し1974/8/8に辞任した。『棒になった男』
1月、安部公房が戯曲「鞄」発表。この後、9月に「棒になった男」、書き下ろした「時の崖」の3部作で「棒になった男」を構成された。フラワーズ
(麻生レミVo、小林勝彦Gr)内田裕也プロデュースのバンド。1月、デビュー・シングル「ラスト・チャンス」発売。このバンドが翌年にフラワー・トラベリン・バンド(ジョー山中Vo,石間秀樹Gr)への発展する。ブラインド・フェイス/Blind Faith
2月、エリック・クラプトン/Eric Clapton、ジンジャー・ベイカー/Ginger Baker(この10/6に亡くなられてしまった、あぁ合掌)、スティーヴ・ウィンウッド/Seve Winwoodとブラインド・フェイス/Blind Faith結成発表。エリック・クラプトン/Eric Clapton(Gr)、ジンジャー・ベイカー/Ginger Baker(Dr)はCreamを解散させた後にスティーヴ・ウィンウッド/Seve Winwood(Key)の才能に注目し、リック・グレッチRick Gretch(Ba)を加え結成したスーパー・バンドと呼ばれたがアルバムを1枚発売しただけで解散した。
当初は、当然「+9」ではなく、6曲収録のアルバムだったが発掘音源9曲をプラスした2枚組15曲収録版。
後に発売された1969年当時のハイドパークでのライブ映像。必見
2007年以降、エリック・クラプトン/Eric Claptonとスティーヴ・ウィンウッド/Seve Winwood(Key)が共演した際には、この時の曲を演奏している。
福澤幸雄
2/12、モデルでレーサーだった。がテスト走行中に事故死(享年25歳)。2/20、指揮者エルネスト・アンセルメ/Ernest Ansermet死去(享年85歳)。
カルメンマキ
2/21、「時には母のない子のように」(作詞:寺山修司)でデビュー。17歳だった。ミリオンセラーとなり紅白歌合戦にも出場。その後ロック歌手へと転身、カルメン・マキ&ブルース・クリエイションを経て、カルメンマキ&OZなどで活躍。現在もバリバリの現役
2/26、哲学者カール・ヤスパース/Karl Jaspers死去(享年86歳)。
2月、アングラ・レコード・クラブ (URC) が設立。当初は会員制だった。歌詞が過激で放送禁止となるような事態を避けるためのインディーズ・レーベルだった。
アーティスト:五つの赤い風船、岩井宏、遠藤賢司、岡林信康、加川良、ザ・ディランⅡ、斉藤哲夫、高石友也、高田渡、友部正人、、中川五郎、はっぴいえんど、三上寛、六文銭
3/1、NHK-FM放送が本放送開始
3/30、活動家フランシーヌ・ルコント/Francine Lecomteが焼身自殺(享年30歳)。このことを新谷のり子が『フランシーヌの場合』という曲で歌い80万枚のヒットとなった。
4/7、連続射殺魔永山則夫が逮捕。永山則夫は死刑囚となった後、獄中で『無知の涙』を執筆。
4/9、ボブ・ディラン/Bob Dylan『ナッシュヴィル・スカイライン/Nashville Skyline』発売。
4/18,21,23、ハービー・ハンコック/Herbie Hancock『ザ・プリズナー/The Prisoner』録音
4/27、コント55号の『コント55号の裏番組をブッ飛ばせ!』放送開始。
4/28、シャルル・ド・ゴールが仏大統領を辞任。
裸のラリーズ
1967年結成。Gr水谷孝を中心としたバンド。1969/4月、京都大学の「バリケード・ア・ゴーゴー」(バリケードの中で行われたイベント)「で演奏。翌年3/31のよど号ハイジャックに加わった者が元メンバーだということで変に有名になった時期があった。
基本的にはメジャーと契約せず、孤高の存在としてライブ活動を続けた。
メンバーには久保田麻琴、山口富士夫が参加した時期もあった。
90年代、水谷が渡仏してから活動は下火になった一方で突如CD-Rによる音源が限定リリースされ、その音源をコピーした海賊版が出回るなど、ライブでしか見聴き出来なかった音が入手出来るようになった。水谷が現在も存命なのか、どこにいるかは謎である
5/11~13、チック・コリア/ Chick Corea『イズ/Is』『サンダンス/Sundance』 録音
5/13、三島由紀夫が東大全共闘と公開討論。
6月、泥沼のベトナムから米軍が段階的に撤退開始。
6/22、女優ジュディ・ガーランド/Judy Garland死去(享年47歳)。
6/24、『二十歳の原点』の著者高野悦子自殺(享年20歳)。
6/28、アメリカでストーンウォールの反乱が起きる。
6/29、中央競馬においてバスター事件
映画監督成瀬巳喜男
7/2、死去(享年63歳)。『浮雲』が最高傑作とされる評価が多いが成瀬自身はそうは思っていなかったという。野上照代さん(黒澤明監督の名スクリプター)が回想で「黒澤さんが一番尊敬していたのは成瀬監督」と言っている。欧州では溝口、小津、黒澤、成瀬を「日本の4巨匠」と評価している。7/3、ブライアン・ジョーンズ/Brian Jones(ローリング・ストーンズのオリジナル・メンバー)死去(享年27歳)。
7/5、ローリング・ストーンズがハイド・パークでフリー・コンサート。新任ギタリストのミック・テイラーお披露目の予定がブライアン・ジョーンズ追悼という目的に。
ヴィルヘルム・バックハウス/Wilhelm Backhaus
7/5、クラシック界のピアニスト死去(享年85歳)。直前のリサイタルでベートーヴェンのピアノソナタ18番第3楽章の途中で胸の不調から中断したものの戻って演奏を終えたという。その後病院に搬送され回復することなく亡くなった。
『鍵盤の獅子王(Lion of the keyboard』と称された巨匠。ベートーヴェン、ブラームス、ショパンに特に評価が高かった。
若き日にアントン・ルービンシュタイン国際コンクールのピアノ部門で優勝したときの2位がベラ・バルトークであった。バルトークはこの結果に失望しピアニストの道を断念したという。その後の大作曲家としての大成は1位になれなかったからこそなのかもしれない。
7/5、『颱風とざくろ』脚本:倉本聰(原作:石坂洋次郎)日本テレビ系でドラマ放送開始
映画『イージー・ライダー/Easy Rider』
7/14、全米公開(日本では1970年)。アメリカン・ニュー・シネマの最重要作品。主演のピーター・フォンダの父は名優ヘンリー・フォンダ、姉はジェーン・フォンダ。ほぼこの一作でスターに登りつめた。
7/25、「ニクソン・ドクトリン」を発表
7/25、マイルス・デイヴィス/Miles Davis1993年に『1969 Miles』として発売されるフランスでのフェスティバルでの演奏。 7/30、マイルス・デイヴィス/Miles Davis『イン・ア・サイレント・ウェイ/In A Silent Way』発売。2/18に録音したばかりで7月には発売。この作品から「フュージョン」という呼称が使われ出したという説がある。
マイルス・デイヴィス/Miles Davis:トランペット
ウェイン・ショーター/Wayne Shorter:ソプラノ・サックス
ジョン・マクラフリン/John McLaughlin:エレクトリック・ギター
デイヴ・ホランド/Dave Holland:ベース
トニー・ウィリアムス/Tony Williams:ドラムズ
ハービー・ハンコック/Herbie Hancock:エレクトリック・ピアノ
チック・コリア/Chick Corea:エレクトリック・ピアノ
ジョー・ザヴィヌル/Joe Zawinul:オルガン
いつもながら後にそれぞれがリーダーとなるメンバーを揃えてしまうマイルス学校の凄さ
7月、フラワーズのアルバム「チャレンジ!」発売
7月、「ザ・テンプターズ・オン・ステージ」(4/20東京厚生年金会館にて収録)発売
女優シャロン・テート/Sharon Tate
8/9、チャールズ・マンソンを教祖とするカルト教団信者により殺害される(享年26歳)。クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はこの事件を扱っている。第1回全日本フォークジャンボリー
8/9-10、岐阜県中津川市にて1971年まで3年連続開催された。別名中津川フォークジャンボリー。出演:五つの赤い風船、岩井宏、遠藤賢司、岡林信康、上条恒彦、ジャックス(早川義夫、木田高介、谷野ひとし、つのだひろ-このライブ参加後にバンドは解散してしまう)、高石ともや、高田渡、田楽座、中川五郎。
『ウッドストック・フェスティバル』
8/15-17、開催。事前に20万近くのチケットが売れていたが全米中からニューヨーク州の会場いに若者たちが向かっているとの情報で急遽会場をヤスガー農場に変更した。結果 40万人もの人が集まりやむなくフリーコンサートになった。
昨今流行のただ大勢のバンドが集結する「フェス」とは異なり、邦題に「平和と音楽の3日間」と付いているように当時はピース、フリーダムなど理想主義の象徴的なイベントとして行われた。この模様は撮影され、映画に詳しい。
リッチー・ヘイヴンス
(オープニング・アクトでずばり『フリーダム』の熱唱は胸が熱くなる)、
スワミ・サッチダナンダ、
スウィート・ウォーター、
バート・ソマー
(ミュージカル『ヘアー』にも出演した)、
ティム・ハーディン、
ラヴィ・シャンカール
(ジョージ・ハリスンなどに多大な影響を与えたインドのシタール奏者。いまやノラ・ジョーンズの父という紹介のされ方をすることが多くなった)が演奏中雨が降ってきた、
メラニー、
アロー・ガスリー、
ジョーン・バエズ
(フォーク・シンガーが3人続き初日のトリは既にこの時点で大物の風格あるこの人。ボブ・ディランを有名にした功績も忘れてはならない。素晴らしい歌声。)
RICHIE HAVENS,SWAMI SATCHIDANANDA,SWEETWATER,BERT SOMMER,TIM HARDIN, RAVI SHANKAR,MELANIE,ARLO GUTHRIE,JOAN BAEZ
8/16
クウィル、
カントリー・ジョー・マクドナルド、
サンタナ (いまだ現役!この時のステージが語り継がれるほどの名演。必聴!)、
ジョン・セバスチャン
(当初出場予定なく来場していたところ急遽演奏することになったらしい)、
キーフ・ハートレイ、ジ・インクレディブル・ストリング・バンド、
キャンド・ヒート、
マウンテン
(この年ファースト・アルバムを発表したばかりとは思えない演奏。いまだ現役!)、
グレイトフル・デッド
(アメリカン・ロック界でヒッピー野郎たちの最も敬愛するバンド。しかしこの日は機材の不調で本調子ではなかったという。いちいち書いていないが相当数のアーティストが後に『ドラッグを決めていたからよく覚えていない』など発言している様に観客のみならずアーティスト達にも夢うつつ、そして過酷な現場だった様だ)、
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(CCR)、
ジャニス・ジョプリン・ウィズ・コズミック・ブルース・バンド
(有名どころが連続にプレイしてきて盛り上がりが増していきます)、
スライ&ファミリーストーン
(映画を観てもこの日のハイライトのひとつ。圧巻。脱帽。安い言い方になるが歴史的名演)、
ザ・フー
(スライの後でよくぞここまで、というほどフーも凄い!圧巻、歴史的名演2)、
ジェファーソン・エアープレイン
(2日目のトリだが、もう朝。やりにくいことだったでしょう)
QUILL,COUNTRY JOE MCDONALD,SANTANA,JOHN SEBASTIAN,KEEF HARTLEY BAND,THE INCREDIBLE STRING BAND,CANNED HEAT,MOUNTAIN,GRATEFUL DEAD,CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL,JANIS JOPLIN WITH THE KOZMIC BLUES BAND,SLY AND THE FAMILY STONE,THE WHO,JEFFERSON AIRPLANE
8/17
ジョー・コッカー・アンド・グリース・バンド
(いまもひしひしとくる熱唱)“どうやら雨は降りやんだらしい。かわりに、空からは、おだやかな音を響かせるヘリコプターからヒナギクの雨が降ってきた”『ウッドストック伝説 甦る“愛と平和”の’60年代』から引用
カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュ
(雨のせいでスケジュールが大幅に遅れてしまった中、「俺たちに電気は要らない」と言ったという)、
テン・イヤーズ・アフター
(既に午後8時を回っていたという。ウッドストックでの名演のひとつとして有名。早弾きアルヴィン・リー)、
ザ・バンド
(メンバーでウッドストックに住み着いてボブ・ディランのバック・バンドとしてキャリアは積んでいたものの自らは前年1968年にファースト・アルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』を発表したばかりだった)、
ジョニー・ウィンター、
ブラッド・スウェット&ティアーズ
(BST。この年に発表したセカンド・アルバム『Blood, Sweat & Tears』がグラミー賞最優秀アルバムを受賞)、
クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング
(デビュー・アルバムを発表したばかりでガチガチに緊張していたというが素晴らしい演奏)、
ポール・バターフィールド・ブルース・バンド(既に8/18の朝6時)、
シャナナ
(時間帯を別にすれば大トリを前に順番がチグハグな印象)、
ジミ・ヘンドリックス
(そしていよいよ真打登場。しかし8/18月曜日の朝9時。かなりの観客が夢の世界から現実へ帰路についていたという。アメリカ国歌「THE STAR SPANGLED BANNER」から始まり、ジミヘン・ファンの間では「ラリパッパで」さほど高評価されていない演奏だが、高評価されていなくてこれかよ、という凄まじい演奏。このジミ・ヘンドリックスの演奏部分だけもDVD化されている。ジミ・ヘンドリックスの演奏中、帰る観客の後ろ姿、会場に散乱するゴミといった祭りの後が挿入される。ジミ・ヘンドリックスのこの真に歴史的演奏としか形容のしようがない時間が終わり、世界が夢見た理想的社会、生活がゆっくりと崩れていった)
JOE COCKER AND THE GREASE BAND,COUNTRY JOE AND THE FISH,TEN YEARS AFTER,THE BAND,JOHNNY WINTER,BLOOD, SWEAT & TEARS,CROSBY, STILLS, NASH & YOUNG,PAUL BUTTERFIELD BLUES BAND,SHA NA NA,JIMI HENDRIX
8/18、夏の甲子園大会決勝(三沢高校vs松山商業)で延長18回引分け再試合。
8/19-21、マイルス・デイヴィス/Miles Davis『ビッチェズ・ブリュー/Bitches Brew』をレコーディング。
8月、ジャックス解散
8月、桑名正博シングル『朝の光が輝く時』(ファニー・カムパニー名義)作曲:ばんばひろふみ
1971年にファニー・カンパニーとしてバンド活動を再開し、「スウィート・ホーム大阪」(名曲!)でデビュー。
9/3、ホー・チ・ミン(ベトナム民主共和国初代国家主席)死去(享年79歳)。
9/23、映画『明日に向って撃て!/Butch Cassidy and the Sundance Kid』全米公開(日本では1970年)
『アビイ・ロード/Abbey Road』
9/26、ビートルズの『アビイ・ロード/Abbey Road』イギリスにて発売。アメリカ発売は10/1、日本は10/21。ビートルズのラスト・アルバム。発売は『レット・イット・ビー/Let It Be』が後だが、『アビイ・ロード/Abbey Road』の方が後に録音されたことはファンなら誰でも知っている。
『必殺のB面』メドレーが収録されていることで永遠に語り継がれるアルバム。
ファンならずともロンドンに行ってアビーロード・スタジオを見学したり、横断歩道でジャケット写真の真似をする人は後を絶たない。
9月、はっぴいえんどの前身“ヴァレンタイン・ブルー”結成。
10/1、ビートルズの『アビイ・ロード/Abbey Road』発売(米)。
10/4、『8時だよ!全員集合』放送開始。最高視聴率50.5%(1973/4/7)、平均視聴率も27.3%というお化け番組。80年代から『オレたちひょうきん族』の登場でしばしばライバル番組と比較されたが、後期には『オレたちひょうきん族』に視聴率を上回られた。1985/9/28まで約16年間803回放送。
10/5、『サザエさん』放送開始。(現在も放送中)
10/5、『サインはV』放送開始。バレーボールを扱ったドラマ。主演:岡田可愛。最高視聴率39.3%
10/7、プロ野球「黒い霧」事件で西鉄永易選手らが永久追放。
『クリムゾン・キングの宮殿/In The Court Of The Crimson King』
10/10発売、キング・クリムゾンKing Crimsonのファースト・アルバムにしてロック史上最重要アルバムの一枚。オープニングの『21st Century Schizoid Man (including “Mirrors”)』は当初『21世紀の精神異常者』と訳されていたが現在は『21世紀のスキッツォイド・マン』と変更された。日本語の訳がどう変わろうともこの一曲の威力、破壊力でこのバンドは突出した存在になった。オリジナル・メンバーのロバート・フリップだけが残り幾多の変遷を経、現在も存在し、この曲は現在のレパートリーに復活している。
『悪徳の栄え』
『悪徳の栄え』は1959年に出版されたマルキ・ド・サド著、澁澤龍彦訳の書籍。10/15、本書をわいせつ文書として現代思潮社と澁澤龍彦を被告としてわいせつ罪(刑法175条)の有罪判決が出た。『霊長類南へ』
筒井康隆は本作で第一回星雲賞(日本長編作品部門)受賞10-12月、ハービー・ハンコック/Herbie Hancock『ファット・アルバート・ロトゥンダFat Albert Rotunda』録音、発売。
10/21、作家ジャック・ケルアック/Jack Kerouac死去(享年47歳)。
まさに時代の空気を作った「ビートニク」の代表的作家。
ヒッピー達のバイブル『路上/ON THE ROAD』の著者。
10/21、10.21国際反戦デー闘争で新左翼が機動隊と衝突。逮捕者1,500人以上。
11/3、日産がフェアレディZを発売。
11/11、玉川髙島屋が開業。
12/1、ギタリストマジック・サム/Magic Sam死去(享年32歳)。
12/6、オルタモントでのフリーコンサートでローリング・ストーンズが演奏中、警備のヘルス・エンジェルスのメンバーが一人の黒人観客を殺害。この模様は後に映画『ギミー・シェルター/Gimmie Shelter』の中にも収録された。
12月、ブロードウェイ・ミュージカル『ヘアー』を川添象郎プロデュースで日本での上演(渋谷東横劇場)。主演は元ザ・タイガースの加橋かつみ。
村八分
詳細な時期は不明だがサンフランシスコから帰国したチャー坊(柴田和志)が元ダイナマイツの山口富士夫(gr)とバンド村八分を結成。基本的にはローリングストーン・ライクなサウンドだが、退廃的、攻撃的な歌詞と当時の日本では最高レベルのギターで「本当に村八分は凄かった」と各ライブで伝説を残した。
当時発売された唯一のライブはいま聴いても名盤だが、「録音されている演奏はおとなし過ぎる、本当の村八分はこんなもんじゃなかった」という声が多い。
ブルース・クリエイション
左利きのギタリスト竹田和夫が布谷文夫(vo)らと結成。後にクリエイションと発展しシングルヒットを放つなどした。現在もまだ竹田和夫は元気にアメリカや国内ライブハウスでのライブを続けている。3. 賞
<1969年の様々な受賞>
各賞 | 作品名 | 作者 |
---|---|---|
カンヌ国際映画祭パルム・ドール | If もしも…. / If…. | リンゼイ・アンダーソン / Lindsay Anderson |
カンヌ国際映画祭グランプリ | Ådalen ’31 | ボー・ヴィーデルベリ / Bo Widerberg |
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞 | ー | ー |
ベルリン国際映画祭金熊賞 | 初の仕事 / Rani radovi | ジェリミール・ジルニク / Želimir Žilnik |
ベルリン国際映画祭銀熊賞 (審査員グランプリ) | – | – |
アカデミー作品賞 | 真夜中のカーボーイ / Midnight Cowboy | ジョン・シュレシンジャー / John Schlesinger |
キネマ旬報外国映画ベスト・テン1位 | アポロンの地獄(Edipo Re) | ピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini) |
キネマ旬報日本映画監督賞 | 心中天網島 | 篠田正浩 |
ノーベル文学賞 | サミュエル・ベケット / Samuel Beckett | |
ブッカー賞 | Something to Answer for | P・H・ニュービィ |
ゴンクール賞 | クリージー / Creezy | フェリシャン・マルソー |
ピューリッツァー賞 フィクション部門 | House Made of Dawn | N・スコット・ママデイ |
エドガー賞 長編賞 | 緊急の場合は / A Case of Need | ジェフリイ・ハドスン(マイケル・クライトン / Michael Crichtonの別名 |
英国推理作家協会(CWA)賞 | 英雄の誇り / A Pride of Heroes The Old English Peep Show | ピーター・ディキンスン / Peter Dickinson |
全米図書賞 | 異境 / Steps | イエールジ・コジンスキー |
ネビュラ賞 | 成長の儀式 / Rite of Passage | アレクセイ・パンシン |
ヒューゴー賞 | Stand on Zanzibar | ジョン・ブラナー |
芥川賞上半期 | 赤頭巾ちゃん気をつけて | 庄司薫 |
芥川賞上半期 | 深い河 | 田久保英夫 |
芥川賞下半期 | アカシヤの大連 | 清岡卓行 |
江戸川乱歩賞 | 高層の死角 | 森村誠一 |
ピューリッツァー賞 音楽部門 | 弦楽四重奏曲第3番 | カレル・フサ: |
レコード・アカデミー大賞 | ドイツ歌曲大全集 | F=ディースカウ/Fischer-Dieskau(Br) ほか |
スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞 | リベレーション・ミュージック・オーケストラ / Liberation Music Orchestr | チャーリー・ヘイデン / Charlie Haden |
グラミー賞最優秀レコード賞 | ミセス・ロビンソン / Mrs. Robinson | サイモン&ガーファンクル / Simon & Garfunkel |
日本レコード大賞 | いいじゃないの幸せならば | 佐良直美 |
日本レコード大賞最優秀新人賞 | 夜と朝のあいだに | ピーター |
プライムタイム・エミー賞 作品賞 (ドラマ部門) | NET Playhouse | NET |
★「作者」
映画賞の場合は、監督、
プライムタイム・エミー賞 作品賞 (ドラマ部門)の場合は放送局
★各賞の「–」は該当作品なし
4. ランキング
<1969年の全世界映画興行収入ランキング>
順位 | 曲名 | アーティスト名 | 主演 | 興収(万ドル) |
---|---|---|---|---|
1位 | 明日に向って撃て! | ジョージ・ロイ・ヒル | ポール・ニューマン , ロバート・レッドフォード | 1,0430 |
2位 | 女王陛下の007 | ピーター・ハント | ジョージ・レーゼンビー , ダイアナ・リグ | 8,200 |
3位 | 真夜中のカーボーイ | ジョン・シュレシンジャー | ジョン・ボイト , ダスティン・ホフマン | 6,222 |
4位 | イージー・ライダー | デニス・ホッパー | ピーター・フォンダ , デニス・ホッパー | 6,000 |
5位 | ハロー・ドーリー! | ジーン・ケリー | バーブラ・ストライサンド , ウォルター・マッソー | 3,313 |
6位 | ボブ&キャロル&テッド&アリス | ポール・マザースキー | ナタリー・ウッド , ロバート・カルプ | 3,189 |
7位 | ペンチャー・ワゴン | ジョシュア・ローガン | リー・マーヴィン , クリント・イーストウッド | 3,167 |
8位 | 勇気ある追跡 | Tom Jones | ジョン・ウェイン , キム・ダービー | 3,113 |
9位 | サボテンの花 | ジーン・サックス | ウォルター・マッソー , イングリッド・バーグマン | 2,588 |
10位 | 淫魔 | アルフ・シリマン・Jr | クリスチナ・ナート , ポーラ・エリクソン | 2,500 |
<1969年のキネマ旬報外国映画ベスト10>
順位 | 作品名 | 監督 | 主演 | 配給 | 配収(億円) |
---|---|---|---|---|---|
1位 | アポロンの地獄 | ピエル・パオロ・パゾリーニ | シルヴァーナ・マンガ | 日本ヘラルド | |
2位 | 真夜中のカーボーイ | ジョン・シュレシンジャー | ジョン・ボイト , ダスティン・ホフマン | UA | |
3位 | If もしも…. / If…. | リンゼイ・アンダーソン / Lindsay Anderson | マルコム・マクダウェル | PA | |
4位 | ウイークエンド | ジャン=リュック・ゴダール | ジャン・ヤンヌ | アトス・フィルム | |
5位 | ローズマリーの赤ちゃん | ロマン・ポランスキー | ミア・ファロー | PA | |
6位 | 泳ぐひと | フランク・ペリー | バート・ランカスター/Burt Lancaster | ||
7位 | できごと | ジョセフ・ロージー | ダーク・ボガード/Dirk Bogarde | LIP | |
8位 | フィクサー | ジョン・フランケンハイマー | アラン・ベイツ | MGM | |
9位 | ジョンとメリー | ピーター・イエーツ | ダスティン・ホフマン | FOX | |
10位 | さよならコロンバス | ラリー・ピアス | Richard Benjamin |
MGM=メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
PA=パラマウント
UA=ユナイテッド・アーティスツ
WB=ワーナー・ブラザース
<1969年のキネマ旬報日本映画ベスト10>
順位 | 作品名 | 監督 | 主演 | 配給 | 配収(億円) |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 心中天網島 | 篠田正浩監 | 中村吉右衛門、岩下志麻 | ATG | |
2位 | 私が棄てた女 | 浦山桐郎 | 河原崎長一郎、浅丘ルリ子 | 日活 | |
3位 | 少年 | 大島渚 | 渡辺文雄、 小山明子 | ATG | |
4位 | かげろう | 新藤兼人 | 乙羽信子 | 松竹 | |
5位 | 橋のない川 | 今井正 | 長山藍子、北林谷栄 | 12 | |
6位 | 男はつらいよ | 山田洋次 | 渥美清 | 松竹 | |
7位 | ベトナム | 山本薩夫 | |||
8位 | 新宿泥棒日記 | 大島渚 | 横尾忠則 | ATG | |
9位 | 続・男はつらいよ | 山田洋次 | 渥美清 | 松竹 | |
10位 | 風林火山 | 稲垣浩 | 三船敏郎 | 三船敏郎 |
大島渚監督作品が2本選出されている。
山田洋次監督の「男はつらいよ」もシリーズが始まり2本ともラインクイン。
<1969年の日本国内映画興行ランキング>
順位 | 作品名 | 監督 | 主演 | 配給 | 配収(億円) |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 栄光への5000キロ | 蔵原惟繕 | 石原裕次郎 | 松竹映配 | 6.5 |
2位 | ブリット | ピーター・イエーツ | スティーブ・マックィーン , ジャクリーン・ビセット | WB | 4.4 |
3位 | 日本海大海戦 | 丸山誠治 | 三船敏郎 | 東宝 | 3.6 |
4位 | 超高層のあけぼの | 関川秀雄 | 池部良 | 東映 | 3.6 |
5位 | チキ・チキ・バン・バン | ケン・ヒューズ | ディック・ヴァン・ダイク , サリー・アン・ハウズ | UA | 3.5 |
6位 | 人斬り | 五社英雄 | 勝新太郎 | 大映 | 3.5 |
7位 | ウエスト・サイド物語 | ロバート・ワイズ , ジェローム・ロビンス | ナタリー・ウッド , リチャード・ベイマー | UA | 2.6 |
8位 | 荒鷲の要塞/Where Eagles Dare | ブライアン・G・ハットン | リチャード・バートン , クリント・イーストウッド | MGM | 2.6 |
9位 | 千夜一夜物語(アニメ) | 山本暎一 | ー | 日本ヘラルド | 2.6 |
10位 | 御用金 | 五社英雄 | 仲代達矢 | 東宝 | 2.5 |
WB=ワーナー・ブラザース
UA=ユナイテッド・アーティスツ
MGM=メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
[年間映画興行収入ランキング]より引用
*資料により配収数字が異なるが、資料記載のまま引用する
<1969年の邦画興行ランキング>
順位 | 作品名 | 監督 | 主演 | 配給 | 配収(億円) |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 栄光への5000キロ | 蔵原惟繕 | 石原裕次郎 | 松竹映配 | 6.5 |
2位 | 日本海大海戦 | 丸山誠治 | 三船敏郎 | 東宝 | 3.6 |
2位 | 超高層のあけぼの | 関川秀雄 | 池部良 | 東映 | 3.6 |
4位 | 人斬り | 五社英雄 | 勝新太郎 | 大映 | 3.5 |
5位 | 千夜一夜物語(アニメ) | 山本暎一 | ー | 日本ヘラルド | 2.9 |
6位 | 御用金 | 五社英雄 | 仲代達矢 | 東宝 | 2.5 |
7位 | 新網走番外地 流人岬の血斗 | 降旗康男 | 高倉健 | 東映 | 1.8 |
7位 | 日本侠客伝 花と龍 | マキノ雅弘 | 高倉健 | 東映 | 1.8 |
9位 | 日本暗殺秘録 | 中島貞夫 | 千葉真一 | 東映 | 1.6 |
9位 | コント55号 人類の大弱点 | 福田純 | コント55号 | 東宝 | 1.6 |
[wikipedia]より引用
*資料により配収数字が異なるが、資料記載のまま引用する
<1969年のBillboard chart 年間ランキング(シングル)>
順位 | 曲名 | アーティスト名 | |||
---|---|---|---|---|---|
1位 | シュガー・シュガー/SUGAR, SUGAR | アーチーズ/Archies | |||
2位 | 輝く星座 (アクエリアス)AQUARIUS/LET THE SUNSHINE IN(The Flesh Failures) | フィフス・ディメンション/5th Dimension | |||
3位 | I CAN’T GET NEXT TO YOU | Temptations | |||
4位 | HONKY TONK WOMEN | Rolling Stones | |||
5位 | EVERYDAY PEOPLE/td> | Sly & The Family Stone | |||
6位 | DIZZY | Tommy Roe | |||
7位 | HOT FUN IN THE SUMMERTIME | Sly & The Family Stone | |||
8位 | I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN | Tom Jones | |||
9位 | BUILD ME UP BUTTERCUP | Foundations | |||
10位 | CRIMSON AND CLOVER | Tommy James & The Shondells |
1位 シュガー・シュガー – アーチーズ/SUGAR, SUGAR – Archies
2位 輝く星座 (アクエリアス) – フィフス・ディメンション/AQUARIUS/LET THE SUNSHINE IN(The Flesh Failures) – 5th Dimension
ミュージカル『ヘアー』に採用された
3位 テンプテーションズ/I CAN’T GET NEXT TO YOU – Temptations
4位 HONKY TONK WOMEN – Rolling Stones
5位 スライ&ザ・ファミリーストーン/EVERYDAY PEOPLE – Sly & The Family Stone
『ウッドストック・フェスティバル/・フェスティバル』で大盛り上がりしたスライはこの年売れまくリ、7位にもランクイン。アルバム『スタンド』もバカ売れした。
6位 トミー・ロウ/DIZZY – Tommy Roe
7位 スライ&ザ・ファミリーストーン/HOT FUN IN THE SUMMERTIME – Sly & The Family Stone
5位に続いて年間トップ10に2曲もランクインされるほどSly & The Family Stoneの勢いは凄まじかった。
8位 I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN – Tom Jones
9位 ファウンデーションズ/BUILD ME UP BUTTERCUP- Foundations
10位 トミー・ジェームス/CRIMSON AND CLOVER – Tommy James & The Shondells
1982年、ジョーン・ジェット&ブラックハーツがカバーし全米7位となる。
11位 ONE – Three Dog Night
スリー・ドッグ・ナイト
『Without You』で有名なハリー・ネルソン作。
12位 CRYSTAL BLUE PERSUASION – Tommy James & The Shondells
13位 HAIR – Cowsills
14位 TOO BUSY THINKING ABOUT MY BABY – Marvin Gaye
15位 LOVE THEME FROM ROMEO & JULIET – Henry Mancini & His Orchestra
16位 GET TOGETHER – Youngbloods
17位 GRAZING IN THE GRASS – Friends Of Distinction
18位 SUSPICIOUS MINDS – Elvis Presley
エルビスが全米チャート1位になった最後の曲。
19位 PROUD MARY – Creedence Clearwater Revival
通称CCR。5曲が全米2位になるも1曲も1位を取れなかった。
20位 WHAT DOES IT TAKE(To Win Your Love) – Jr. Walker & The All Stars
5. topics
<h4><流行語></h4>
wikipediaによれば
あっと驚くタメゴロー
バラエティ番組『ゲバゲバ90分』の中でハナ肇がエコノミック・アニマル
1960年パキスタン外相が日本の海外進出が経済的利潤追求を第一としていると日本に対し発言した、が元というから9年も経って流行ったというのは、日本国内で日本人が自虐的に、また批判をかわす意味で多用したのがこの頃だったのだろう。ニャロメ
赤塚不二夫が『少年サンデー』に連載した『もーれつア太郎』のキャラクターオヨビでない
植木等が番組『シャボン玉ホリデー』の中で出番でもないシーンに登場し「お呼びでない? こりゃまた失礼しました」と毎週のように言った定番ギャグがヒット。ハレンチ
永井豪の漫画『ハレンチ学園』よりオー、モーレツ!
丸善ガソリンのCMに出演したモデルの小川ローザが放つ一言が大流行。やったぜ、ベイビー
流行らせたのは、加藤茶、坂本九、大橋巨泉と諸説あるが、嬉しい時などに何かといえば「やったぜ、ベイビー」と言うのが流行った。1986年に『やったぜベイビー!』という全5話のドラマ(ビートたけしの『あの人』からドラマ化)が放送されたが、当然この流行の原点ではなく、むしろ逆。
はっぱふみふみ
大橋巨泉が。パイロット万年筆のCMで「みじかびの、きゃぷりてとれば、すぎちょびれ、すぎかきすらの、はっぱふみふ」とアドリブで放った言葉が大ヒット。クリープを入れないコーヒーなんて
森永製菓のCMで「クリープを入れないコーヒーなんて」とのコピーライトがOAされると、「〇〇だと、クリープを入れないコーヒーみたい」と比喩的に日常的に使われるようになった。ゲバ棒
正確には「ゲバルト棒」。政治活動家が持つ角材などの武器。「ゲバルト」とはドイツ語のGewalt(暴力・権力)。流行した、という言い方には違和感があるが、左翼運動、デモなどがニュースになることが多く、お茶の間にこの単語が浸透した。<何が終わったのか>
人間が複数存在することで集団、ルール、生存競争が生じる。それが部族、街、国家へ、因習、慣習、法律へ、競争、略奪、戦争へと巨大化していく過程で序列、位、優劣を産み差別、貧富の差へと繋がる。
「最初は」正しいことを目指した政治家も、「最初は」人の精神の安寧を願った宗教も巨大化する間に歪曲し醜く変貌する。
それが人の常として起こしてきた事柄に対しマルクスが『資本論』を著し「私有の放棄」という理想主義を掲げたことでこの星に生息する人間に大きな動きが生じた。
「最初」は純粋な理想に向かっていこうとした左翼思想や自由を求める心が「現実」と「理想」、「体制」と「反体制」という対立の上でしか進められなかったことは最初から勝負は見えていたのかもしれない。
しかしそれは今日現在振り返って「後出しジャンケン」で言えることであり、いつの時でも子供にもわかる「正しい」「理想」は素朴で純粋なものだったはずだ。
1969年8/15からの3日間全米中の若者がニューヨーク州の農場に集結したとしても、3日が終われば彼らも家路を急ぐしかなかった。
形としてのユートピアはまだどこにもないのかもしれない。しかしこの時代まで追い求め、散ってしまったように見える純粋に理想を求める心は一人一人がどう持ち続けているのか?捨ててしまったのか?忘れてしまったのか?最初から冗談だったよ、と嘯くのか?
50年前に終わってしまったこと、現在この星の各地で起きていることを見ると、この星の先もそんなに楽観的ではいられないと思ってしまう。
携帯電話もデジタルも存在しなかったこの時期、人はアナログな環境の中で理想を追い求めた。
それが特に藝術、エンターテイメント分野で「行き過ぎた」こともあったかもしれない。
しかし藝術、エンターテイメント分野で限界なく進むことは藝術、エンターテイメントの特権であり、いつの日だってなんら問題はないことだ。
問題は、共産主義的思想の勝敗というレベルの決着ではなく、
「大と小」、「上と下」、「優と列」等の基準を捨てない限り、いつまで経っても権力者や為政者の私利私慾は終わらず、私有の寡占化、紛争という名の人殺しは留まることを知らない。
それはいまも現在進行形でますます先鋭化している問題であろう。
アナログからデジタルへと素晴らしい技術が生活環境を豊かにしてくれたとしても、人の心が萎縮し、人間の暗い面、弱い部分ばかりを強調する道具として活用され、人間がどんどん匿名性を強める日々は果たして50年前よりも進歩していると言い切れるのだろうか?
思想的背景など全く異なるが、現在様々なものが「レンタル」されるサービスがそれなりの事業的成功をみている状況はささやかなる「私有」「所有」への反抗だとは言えるだろう。
誰も彼もが異常な金額を払って「ブランド品」を買い求める狂騒は下火になっている。
財布(という道具)が欲しければ100円ショップでも買えるのに、何十万円も支払うことは、単なる所有欲だけでなく所有している自身の身分が欲しいという欲求もあるのだろう。
そうした気持ちを満足させられる人間は勝手に自己責任で行えばいいことであって、それが欲しいからといって他人から掠奪したり、独り占めする必要はない筈だ。
人間が行ってきた掠奪、制服、侵略などは、並べて「戦争」「殺人」へ繋がって自己欲求を肥大化させてきた。
企業活動の資本主義的拡大も「不要なもの」を買わせ続けることで前年対比利益の黒字維持をしていかねばならぬ道だ。
1969年頃までのとても稚拙で素朴過ぎる平和主義への希求は終わった。
今やこの星が向かうべき明るい思想はどこを見渡しても見つからない。
このままで行くと後10年未満でこの星は後戻り出来ない状態まできているという科学者たちの真剣な指摘は権力者、為政者たちには邪魔で聞きたくない言葉なのだろう。
人間が個人的な夢ではなく、人間全体が夢を持ち、この星を「良い」場所にしたいという皆んなの大合唱は1969年頃を境にして、終焉を迎えてしまったのかもしれない。
情報が溢れかえり、一つの説には必ず誰かが反証をぶつけ、どの情報が正しいのか、怪しいのか、裏があるのか、もう皆目分からない状態になってきてしまった。
これを書いている今、「何でもあり」になっていることは個人ベースでは一見よきことに思えるかもしれないが、全体から見れば「やけくそ」で「勝手にしろ」と言われているのと同義に聞こえてならない。
<何が始まったのか>
日本の音楽シーンでは、
これまでのGS(グループ・サウンズ)ブームが去り、次々とバンドが解散した後、
・村八分
・ブルース・クリエイション
・はっぴいえんどの前身バンド
が結成されたことは『日本のロック』の夜明けの年だったと言える。
<翌年、亡くなってしまう人、こと>
ビートルズジミ・ヘンドリックス
ジャニス・ジョプリン
シャルル・ド・ゴール
★このブログはアップした状態が完結ではなく、今後もちょこちょこと加筆、修正していきます。
事実だけを知りたいのならwikipediaその他が既にあるのだから、
1969年という年を紐解く為に、可能な限り細部に拘って加筆していきたいと思う。謂わば、終わらないブログとなるでしょう。